「みんなのいろいろ」

NIKEが展開するBeTrueプロジェクト。BeTrueは、スポーツにおける平等を推進するためのコミュニティ施策に力を入れる多様な性的指向、アイデンティティ、表現を持つ人々のコミュ二ティを作ろうと努めるPRIDEネットワーク所属のナイキ社員達の草の根活動から始まった。

日本において現役アスリートでカミングアウトしている選手はごくわずか。「ジェンダーやセクシュアリティについて話しづらい」「触れづらい」といった意識が強い世界の中で、実際にスポーツに携わる人々が、どうしたら一緒により良い未来に向かって話すきっかけを持てるのか、NIKEジャパンではインナー向けのワークショップの実施やさまざまな取り組みを行なってきている。

そんな中2023年の施策では、LGBTQIA＋の子どもたち、未来を担うアスリートたちが自分らしく生きていける世界を作るためのきっかけとして、絵本を制作。スポーツを通じて、どんなコミュニケーションができるのだろう？そんな疑問からスタートし、アーティストの清水文太さん、グラフィックデザイナーのMACCIUさん、サッカー選手の下山田志帆さんと一緒にこの絵本『みんなのいろいろ』を作りあげた。

◯絵本制作のチームスタッフィング
◯当事者へのヒアリングの設計
◯ワークショップのプランニングと実施
◯ジェンダー・セクシュアリティに関連する表現に関して、ストーリーとイラスト制作時の懸念や検討事項の洗い出し、制作チームでのディスカッションへの参加

⚫︎絵本のストーリーにおいて目指すべきゴールのすり合わせと認識の共通化
⚫︎スタッフィングにおけるジェンダーバランス、当事者へのヒアリングの設計を踏まえた上で、目指したい表現を最大化するための制作チームの提案
⚫︎ストーリー構成において、社会構造に関連する前提情報や知識を反映しながらも、届けたいメッセージに着地させること

この物語は自分らしい色を見つけていく子どもたちの話。 絵本は日英の2言語で展開しており、オンラインでも公開され、誰も読むことができる。 kokoでは、BeTrueが日本展開をスタートした当初からプロジェクトに携わるAsukaがチームに参画。 2022年夏には、NIKE社員とNIKEファミリー（インフルエンサーやクラブチームのネットワーク）向けにサッカー選手の下山田志帆さんが共同代表を務めるOPTチームと共にワークショップを設計し実施。2023年に公開された絵本の制作においては、クリエイターの提案を含めたプランニングから表現監修の視点で企画に携わり、ストーリーを担当した清水文太さんの制作過程のインタビューの制作も担当。

ジェンダーやセクシュアリティを理由に、スポーツから遠ざかってきた人たちがいること。幼い頃から体育や習い事など、あらゆる子どもたちの日常のそばにあるスポーツの世界で、辛い思いや悲しい思いをしたことがある人たちがいること。そんな社会全体で解決していくべき課題に目を向けながらも、どんなメッセージを届けられたらひとりの希望につなげていけるのか、今ある現実を透明化するのではなくしっかりと描いた上で、それでも世界は明るいはずだと伝えていけるのか。当事者と当事者ではない人との間に境界線をつくることなく、一緒に考えたいと思ってもらえるのか。そんな思いを絵とストーリーで届けていくために、制作チーム全員で何度も話し合いを重ねてつくった1冊。制作の過程において、正しさの担保と説明的になり過ぎてしまう懸念との間で絵と言葉の役割をそれぞれと話しながら、作り上げていった。LGBTQ当事者と当事者ではない人、知識が豊富な人、まだまだわかっていない、勉強しなければと真っ直ぐに話してくれた人、さまざまな立場にいる人たちのどんな違和感も皆で共有したことが重要なプロセスであり、あらゆる視点が盛り込まれたプロジェクトとなった。